あんな本こんな本

編集者・校正者が紹介したい図書



「パルティータを鳴らすまで」

せやま南天 著
朝日新聞出版 発行

幼い日に実母と離れ、弦楽器職人の里父・岸根央太朗のもとで育った中学2年生の時本拓実。拓海に選択権はなく10年の期限付き家族関係を里親と施設と実母の間を行き来しながら築いてきたが、実母の家へ戻る時間が迫っている。やがて来る別れを思い、控えめに暮らしてきた。優しく見守る里父央太郎。央太郎の作ったバイオリンを奏でる拓海。
バイオリンは彼の心を癒す。
望まないことに慣れてしまった拓実、拓実を再び引き取ろうと努力する実の母、いつか分かれる日が来るとわかりつつも里子に愛をそそぎつづける里父、その想いは交差し…。
別れの前にコンサートでバイオリンを弾くことになった。
演奏するのはバッハ作曲無伴奏バイオリンのためのソナタ、パルティータ3番。パルティータの語源はフランス語のパルティーレ₌出発の意味。
ここをスタートに新しい扉を開き未来をきりひらいていくことだろう
揺れる少年の心の機微が音楽になり繊細な物語です。涙腺崩壊です。
創作大賞2023(note主催)朝日新聞出版賞受賞後第一作!



「遺跡発掘師は笑わない 土に埋もれた星は」

桑原水菜 著
株式会社KADOKAWA 発行

客人のアテンドのため、新潟に向かった西原無量たち3人。
ヘリコプターから降りてきたのはインドの御曹司の少年。スキーの手ほどきをしていくなかで、大切に持っている焼き物のかけらのようなペンダントから、彼のルーツをたどることに…。
短編で全4編を収録。巻末にはこれまでの出土遺物を振り返る図録もついています。





 

左:西和賀町 錦秋湖大滝の湯田貯砂ダム

右:花巻市石鳥谷町 田んぼアート「よだかの星」